コラム~Column~

不動産仲介のあれこれトピックス

2020年10月19日
高値売却のために知っておきたい建物評価のポイント

建物がどのように評価されるのかは、不動産の売却において非常に重要なポイントです。
土地と建物は評価の仕組みが違います。土地の場合はその土地であればその時点でおおよそいくら、という見込みはある程度立ちますが、建物は見込みを立てるのが非常に困難です。 物件を高値で売却するために知っておきたい、建物評価のポイントについて解説します。

建物はどのように評価されるのか

建物の評価額に大きな影響を与えるのは、大きく分けて次の2つです。

・建物の劣化の度合い/・再建築した際のコスト

順番に解説しましょう。

・建物の劣化の度合い

建物の劣化は、基本的に経年劣化を基準に判断されます。
構造によって建物の耐用年数は決まっており、年間の減価率に築年数をかけたものが、経年劣化の判断のベースです。
構造による耐用年数は、次のように決まっています。かなり細かく分かれているので、一例を紹介しましょう。

軽量鉄骨プレハブ造住宅(骨格材肉厚3mm以下) 19年
軽量鉄骨プレハブ造住宅(骨格材肉厚3mm超4mm以下) 27年
木造住宅 22年
重量鉄骨造住宅 34年
鉄筋コンクリート住宅 47年

https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/info/hyo01_02.pdf
(出典:東京都主税局)

当然、この耐用年数とは評価上のものであって、実際の建物の寿命ではありません。あくまで計算上のベースだと考えてください。

また、建物の用途によっても耐用年数は変わります。
たとえば住宅用の鉄筋コンクリート造の建物の耐用年数は47年ですが、同じ鉄筋コンクリート造でも事務所用および美術館用のものは50年に延びます。
逆に店舗用、病院用だと39年に縮み、公衆浴場用だと31年まで耐用年数が短くなります。
建物の使用用途が劣化に与える用途や、劣化による影響がどれだけ重大なものであるのかによって、同じ構造の建物でも様々な耐用年数が設けられているのです。

もう一つ、建物評価に大きな影響を与えるのは、今立っている物件と同じものをその土地に建てたらどれくらいの費用がかかるのか、という考え方です。
たとえば、多額の費用をかけて壁や塀を分厚くし、床暖房やエレベーター、噴水やソーラーパネルといった設備を充実させていたら、当然、再建築する場合の費用はシンプルな住宅より高くなると考えられます。つまり、評価額が上がるのです。

建物評価と売値は違う

ただ気をつけたいのは、あくまでこの計算は税金を計算するための評価額であって、実際に取引される額(実勢価格)とは乖離する場合が往々にしてあることです。

建物には「一物四価の法則」と呼ばれる特殊な法則があります。
固定資産税評価額、相続税評価額などがあるのですが、これら税制上の評価額とは別に、前述した「実勢価格」があるのです。
実勢価格は、マーケットの中における需要と供給によって決定します。つまり、建物評価上は高い評価の建物であっても、物件を探す人が少ないタイミングであれば実勢価格は低くなってしまうのです。

当然その逆もしかりで、建物価値としてはほぼゼロの物件であっても、実際に入居者が入っていて利益を生み出す賃貸物件である、といった理由などで実勢価格が上がることがあります。

固定資産税の評価額から実勢価格を推定するのは、大まかには可能です。ただ、あくまで建物の評価額は目安に過ぎず、また当然、実際の不動産の価格には土地の値段の上がり下がりが大きく影響します。
建物評価額は、不動産の売却を考えるうえではあまり過信はできない大まかなベース、と考えてください。

評価額と実勢価格の違いで……?

先ほど、評価額と実勢価格は乖離することがあると述べました。
この乖離を利用するのが、いわゆる不動産による節税です。

相続税対策を考えてみましょう。
たとえば一時期流行したタワーマンション節税は、タワーマンションが税制上の特例などによって、実際に取引されるのより非常に安い相続税評価額で評価されることが肝でした。

つまり、
高額のタワーマンションを買う

相続発生

物件が現金に比べて非常に安く評価され、税金もその分抑えられる

タワーマンションを受け継いだ人が物件を売る

現金で相続した場合にかかっていた税金と③の相続税の差額が節税できる

という仕組みです(売買時の諸経費や税は省きました)。

現在では物件評価の仕組みが見直されてタワーマンション節税はあまり使えなくなっているようですが、逆に言えばこのようなメリットのある物件ならば建物評価が低くても高値で売れる可能性がある、ということです。



建物評価の仕組みを知ることは、物件の売買価格が決定される仕組みの一部を知ることです。
不動産の売却は不透明で、売値の正当性を把握するのがとても難しいので、少しでも知識を増やすことが高値売却の大事な条件です。