コラム~Column~

不動産仲介のあれこれトピックス

2020年11月20日
アメリカ大統領選から読み解くこれからの米国不動産市況

アメリカの大統領選が異様なほどの盛り上がりを見せました。2020年11月3日の投票日から現在(11月17日執筆時)までの時点で、民主党のバイデン前副大統領は勝利宣言をしていますが、トランプ現大統領が結果の受け入れを拒み法廷闘争を続けるという異例の事態が起きています。
新型コロナウィルスのアメリカ国内感染者が1000万人を超え、ミネアポリスで起きた警官による黒人暴行死事件とそれに関連する反人種差別デモなど、アメリカ国内は大きな経済的、社会的ダメージを受けています。
バイデン民主党候補優勢でほぼ決定的ではありますが、このアメリカ大統領選の結果を持って、不動産市況はどのように変わっていくのでしょうか。

経済活動の再開に慎重なバイデン氏

現職共和党候補のトランプ氏は、大胆不敵な言動が特徴的で経済活動の再開に積極的な姿勢を見せます。新型コロナウィルスへの対応でも公共の場ではマスクやフェイスガードは着用しない対応が話題になりました。
不動産王の異名を持つトランプ氏は「税制改革」にも積極的で、法人税を大きく引き下げるなど、経済政策を優遇しているのは明らかです。
一方で、大統領選優勢なバイデン氏は新型コロナウィルスの感染拡大防止に対して慎重な対応を示唆し、「税制改革」には否定的な様子です。裕福な不動産投資家が優遇されて税金逃れをすることを快く思っていないため、基本的には育児や福祉に税収を回したいと考えています。
不動産業界だけを見ると、トランプ氏が再選された方が世の投資家たちにとっては喜ばしいかもしれません。
では、バイデン氏が大統領に就任した場合、不動産業界はどのようになるのでしょうか。

戸建て取得のための住宅ローンに注目

バイデン氏は経済政策に積極的ではない印象ではありますが、住宅ローンに目を向けると希望の光が見えます。特に新型コロナウィルスの感染拡大に伴い増加した在宅勤務ですが、郊外の戸建て住宅に注目が集まっています。
アメリカには政府系住宅金融会社が2社あり、バイデン氏はこれらを存続させて、低所得者向けに住宅ローンを充実させて、これまで減少傾向にあった戸建住宅の保有率を上昇させようと考えているのです。
逆の考え方をすると、あくまで低所得者向けの施策のため、富裕層向けの高額な戸建住宅を販売したい不動産業者は割りを食う可能性があり、物件価格の値下がりに繋がってしまうかもしれないのです。

大統領選挙後のアメリカ不動産市況

アメリカで大統領選が開催される年は、不動産の販売数が例年よりも落ち込む傾向にあります。
販売数に対して価格はというと、大統領選の年は前後の年と比較して、住宅価格の上昇率が低くなりがちです。つまり、買い手側の立場から見ると、大統領選のある年のアメリカ不動産は価格的にも買い求めやすい傾向にあるということです。
販売数や住宅価格が下落する要因としては、まだ大統領が決定していない段階では不動産に関する政策や税制がどのように変わるかもわからないため、投資家たちも様子を見ていると考えることができるでしょう。

一方で、バイデン氏が大統領となった場合、経済的に明るい兆しが見られる可能性もあります。それはバイデン氏が移民に寛大な点です。
トランプ氏は移民流入抑止に力を注いでいることもあり、トランプ氏が再選すると中国をはじめとした海外投資家たちがこぞってアメリカの不動産から離れ、不動産価格に悪影響が出る可能性があるのです。
バイデン氏が積極的に移民を受け入れるようになれば、経済がうまく循環していき、長期的に見れば不動産に好影響を与えるという見方もできます。

日本の不動産投資家がアメリカ大統領選から読み解くこと

アメリカの不動産市況は明確にこうなるという予測は現時点では立てづらいですが、これまでの傾向を鑑みると、不動産の販売数や価格が下落することから今が買い時だと考えることもできます。
ただ、あくまでも複数物件を所有しているなど、上級の不動産投資家についてのみ言えることです。不動産投資に不慣れな初心者の場合、コロナショックが影響していることもあり、アメリカ大統領選後の市場を狙って米国不動産の購入に挑戦するのは賢明とは言えません。
アメリカ不動産に関心がある方は、少なくともしばらく様子を見た方がいいかもしれません。
また、日本の市況はどのように変わっていくかですが、日本の経済や企業業績、株式市場にはある程度の影響を及ぼすことはあり得ます。
実際に東京株式市場の日経平均株価が続伸しており、11月10日には2万5000円台に上昇しました。これは29年ぶりの快挙です。
原因としては欧米市場の株価が急騰したことと新型コロナウィルスのワクチン開発への期待が高まったことが考えられます。

まとめ

トランプ氏、バイデン氏、どちらが買ったとしてもアメリカの金利は上昇することが予想されますので、日本の市場金利も影響を受けることは十分にあり得ます。
とはいえ、日本の国内金利は日本銀行の大規模金融緩和により低位安定しています。日本の住宅ローン金利は低位安定の状態が継続すると予想されます。 欧米に比べると日本はコロナウィルスの経済的影響は少ないです。海外の投資家からも日本の不動産には注目が集まっており、アメリカ大統領選の結果に振り回されるのではなく、国内の不動産に目を向けて堅実な不動産売買を実行していきましょう。