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不動産仲介のあれこれトピックス

2021年1月18日
不動産売却後の確定申告は必要か?
手続きの詳細と必要書類を解説

不動産を売却すると、確定申告が必要になる場合があります。
初めての人にとって、確定申告の手続きはとても面倒です。本記事では、不動産を売却したとき、どのような場合に確定申告が必要になるか、必要な場合はどうやって手続きすればいいか等について解説します。

不動産売却で確定申告は必要か?

不動産売却における確定申告には、以下のようなケースがあります。
・確定申告が必須
・確定申告が不要
・任意だが確定申告をした方が節税につながる

確定申告とは

「確定申告」とは、1月1日〜12月31日までの間に生じた所得の合計金額と、所得に応じた税金を翌年に税務署に申告することです。
基本的に、会社勤めの人の場合は、会社が所得税と住民税を源泉徴収してくれており、年末調整で税金が確定するため、個人で確定申告を行なう必要はありません。
ただし、不動産を売却した場合など、給与所得のほかに所得が発生した場合は、自分で確定申告を行なう必要があります。
確定申告は、不動産を譲渡した翌年の2月16日〜3月15日の間に行ないます。

不動産売却後に確定申告が必要になる場合

不動産売却で得る所得を「譲渡所得」と呼びます。確定申告が必要になるのは、譲渡所得によって売却益が出た場合です。売却益とは、譲渡所得から所得費や諸経費を差し引いた利益のことをいいます。

不動産売却後で確定申告が不要な場合

不動産を売却して、売却益が出ずに損した場合、確定申告は必須ではありません。
ただ、損失が大きい場合は確定申告をした方が節税につながることがあります。不動産を売却して損失が出た場合、マイナス分を本業の給与から差し引き、所得税と住民税を減らすことができるのです。
給与所得と不動産による損益を合算して所得申告することを、「損益通算」といいます。

確定申告の手順と揃えるべき書類

確定申告は、手続きの仕方を知らないと面倒で放置しがちです。
しかし、不動産取引は、登記申請によって税務署に取引内容が通知されます。放置してしまった場合は「脱税行為」とみなされ、延滞金の支払いが発生したり、延滞金の利息を追加徴収されたりすることがあるので注意しましょう。
次に、確定申告の方法と手順、揃える書類について解説します。

確定申告の方法について

確定申告は、個人で行なう方法と税理士に依頼する方法と、大きく2パターンがあります。
個人で行なう場合は、必要書類を自身で用意し、税務署をはじめとした確定申告会場に持参します。郵送による提出も可能です。
税理士に依頼する場合は、費用が発生しますが、面倒な手続きを代行してくれることがメリットです。
費用を抑えたい場合は、各市町村で実施される税理士の無料相談などを駆使して個人で確定申告手続きをすることができます。

確定申告の手順について

不動産売却があった年の確定申告の手順は、以下の通りです。

  • 譲渡所得税額を計算する

まず、譲渡所得と譲渡所得税額を計算しましょう。
譲渡所得があれば確定申告は必須ですが、前述の通り、売却益がなければ申告は任意です。
「課税譲渡所得」は、以下の計算式で求めることができます。

課税譲渡所得=売却価格-(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)

気を付けたいのが、不動産の所有期間によって税額が変わること。不動産を譲渡した際の所有期間が、譲渡した年の1月1日現在で5年を超える場合は譲渡所得の扱いが「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、それぞれ所得税と住民税の税率が異なります。

長期/短期譲渡所得所得税住民税
長期譲渡所得(5年超)15.315%5%
短期譲渡所得(5年以下)30.63%9%

なお、譲渡所得がプラスになっても、税金を支払う必要がない場合があります。
次のような例では、「特別控除」の特例措置が適用され、税金が免除されます。

・居住用財産の3,000万円の特別控除

売却した不動産が居住用だった場合、譲渡所得の金額から最大3,000万円が控除される特例措置です。つまり、課税譲渡所得が3,000万円以下だった場合、譲渡所得税を支払う必要がないのです。ただ、確定申告は行なう必要があります。

・居住用財産の軽減税率適用の特例

居住用不動産を譲渡した年の1月1日時点で、所有期間が10年を超えている場合、譲渡所得が6,000万円以下の部分は税率が20%から14%に引き下げられます。「居住用財産の3,000万円の特別控除」を利用後に併用できます。この特例を受けるためには確定申告が必要です。

  • ②確定申告に必要な書類を用意して記入する

確定申告用の書類は、税務署で取得できる書類と自身で準備する書類があります。
必要書類の詳細については後述します。
書類の記入については、国税庁ホームページにある「確定申告等作成コーナー」の利用が便利です。

  • ③税務署で手続きする

必要書類に記入をしたら、税務署に書類を提出します。

提出方法としては、「直接税務署に持参する」「国税電子申告・納税システム(e-Tax)で申告する」「郵送で税務署に送付する」があります。

  • ④納税する、または還付を受ける

納税の際には、「現金で納付する」「振替納税を利用する」「国税電子申告・納税システム(e-Tax)で納税する」「クレジットカードで納付する」があります。
還付を受ける際は、申告書に記入した金融機関の口座に振り込まれます。

確定申告に必要な書類

確定申告に必要な書類は、大きく以下の6つです。

  • ①確定申告書B様式

所得の種類にかかわらず誰でも利用できる書類です。不動産所得や事業所得がある人はこちらを使用します。なお、確定申告書A様式は、医療控除や住宅ローン控除を受けるサラリーマンや年金受給者が利用する書類です。

  • 分離課税用の申告書

給与所得の課税と不動産やその他所得での課税を、分けて計算する申告書類です。税務署で入手可能です。

  • ③譲渡所得の内訳書

売却した不動産の情報(所在地、面積、売却金額など)を記入する書類で、税務署で入手できます。

  • ④購入時と売却時の不動産売買契約書

売買の事実を証明するために添付する必要があります(コピーも可)。購入時の契約書類を紛失したという例は多いので、きちんと管理することを心がけましょう。提出ができない場合は税務署に理由を聞かれるので、正直に答えるか、購入時の領収書など金額がわかるものを用意することです。

  • ⑤登記事項証明書

管轄の法務局で申請することで入手可能な、売却した不動産の登記事項証明書です。書類の発行には1通600円かかりますが、オンライン請求の場合は手数料が少し安くなります。

  • ⑥仲介手数料などの領収書

取引の実態を証明するための必要書類で、コピーの提出でも可能です。仲介手数料の領収書のほか、固定資産税の精算書や登記費用など、取引でかかった費用の領収書は可能な限り用意しましょう。

確定申告と納税は計画的に

不動産売却において、確定申告は損益次第で必須ではありませんが、売却益が出たら必ず申告して納税しなければなりません。 多忙で自分で手続きするのが難しい場合は税理士に相談するのも一つの手段です。必要書類を揃えるのに手間取ることも考えられるので、確定申告は計画的に行ないましょう。