コラム~Column~

不動産仲介のあれこれトピックス

2021年1月29日
不動産オーナーが知っておきたい両手取引……
片手取引との違いを徹底解説

「両手取引」という言葉をご存知でしょうか。古くから日本の不動産業界で続く商慣習の一つです。
両手取引自体が問題というわけではありませんが、なかにはこれを利用して「囲い込み」を行ない、売主を不利な取引に導く業者も存在します。
両手取引の仕組みについて解説し、囲い込みの問題点や対策を解説します。

「両手取引」とは

不動産売買においては、不動産仲介会社に依頼するのが普通です。その際、「両手取引」と「片手取引」という2種類の取引手法があります。
片手取引は、売主と買主それぞれに仲介会社が1社ずつ入り、売買の際に代理人として2社がやり取りをする手法です。
そして両手取引とは、売主と買主の間に1社の不動産会社のみが入り、両方の代理人を務める手法です。
不動産取引では、売買契約が成立したら仲介手数料の支払いが発生します。仲介手数料には法律で上限が設けられており、「成約価格の3%+6万円」を超えることはできません。
片手取引の場合、仲介会社は売り手か買い手のいずれか一方から仲介手数料を受け取ります。ただ、両手取引の場合は片手取引と違い、不動産会社は売主と買主の両方から手数料を受け取ることができます。片手取引の2倍の利益を得ることができるのです。

両手取引は何が問題なのか

誤解なきよう最初に述べておくと、両手取引そのものは問題ではありません。日本の商慣習として当たり前に行われており、合法です。
ただ、そもそも、不動産売買において売主は「高く売りたい」、買主は「安く買いたい」と考えます。売主と買主は利益相反の関係にあるのです。
ところが両手取引で仲介会社が1社のみの場合は、売主もしくは買主のどちらかに有利に働くように誘導する可能性が高く、どちらかが不利益を被ってしまいます。

・一番の問題点は物件の「囲い込み」

不動産の契約には、金融機関や司法書士の手配、物件の法規調査、重要事項説明書や契約書の作成など、かなりの手間がかかります。なかには契約数を増やす努力をするよりも、両手取引によって1回あたりの契約での収益性を高めた方が効率的と考える不動産仲介会社も存在するわけです。
つまり、そのような仲介会社は売主が時間をかけて不動産を高く売りたいといくら希望しても、早く取引を成立させて2倍の仲介手数料をもらうことを優先します。買主の希望額に合わせて安値の売却を進めたがる可能性が高いのです。
売主の立場で考えると、仲介会社が広く募集を行なえば、高値で買ってくれる買主がいずれ見つけられるかもしれません。効率的かつスピーディな取引成立を優先させて買主を広く探さず、ほかの不動産会社へ物件情報を公開・紹介しない行為を「囲い込み」といいます。
囲い込みの問題点は、両手取引を諦めて他の仲介会社を通せば好条件で売却できるのに、それをしないこと。情報操作をしているのです。
加えて、仲介会社にとって有利な条件となる買主と契約を結んでほしい場合に、物件の問い合わせを選別して売主に隠すことなども一定数行なわれています。

・両手取引にはメリットもある

ただ、不動産売買は案件ごとに条件が細かく異なるため、必ずしも片手取引の方が売主にとって有益とは限りません。
両手取引には、仲介手数料を値引きしてもらえるメリットが考えられるからです。
仲介手数料は宅地建物取引業法により「成約価格の3%+6万円」という上限が設けられています。一方で、下限は設けられていません。仲介会社次第で値引きの余地があるのです。
両手取引の場合、そもそも仲介会社の利益は片手取引の2倍ありますから、少々の値引きであれば取引成立を優先して応じてもらえる可能性があります。
同じ会社が仲介することもあり、買主と売主の交渉が円滑に進みやすいのもメリットです。

両手取引で囲い込みをされる要因とは

両手取引で物件情報の囲い込みをされる要因としては、仲介会社と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいることが考えられます。
不動産仲介の媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介契約は、複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約で、売主が自力で取引相手を探すことも可能です。
専任媒介契約は、仲介を依頼した業者以外に媒介依頼をすることができません。ただ、自力で取引相手を探すことは可能となっています。
専属専任媒介契約は、自力で取引相手を探すことが禁じられており、仲介業者は1社にしか依頼できません。
もちろん専任媒介契約・専属専任媒介契約が悪いということではなく、これらの契約手法のいい部分を利用して悪質な囲い込みをする会社がある、という話です。

片手取引のメリットが大きいわけではない

ここまで説明したように、両手取引には囲い込みという問題点がある一方で、仲介手数料が安くなるメリットもあります。
では、逆に片手取引はどうでしょうか。片手取引は売主と買主それぞれに仲介会社が入ります。つまり、それぞれの仲介会社が担当した側のお客さんの利益を最大化するために行動するため、かなり公平性の高い取引だといえます。

・片手取引にもデメリットはある

片手取引は公平性が大きい一方で、以下の2つのデメリットが考えられます。

消極的な営業姿勢

両手取引と比べると得られる仲介手数料が低く、営業活動を積極的に行なってくれない場合があります。特に物件の価格が低ければ、その分仲介手数料も少なくなるため、担当する仲介業者にもよりますが、営業姿勢に大きく影響することが考えられます。

取引が円滑に行われず長期化

売主と買主の双方に仲介会社が入ることから、それぞれのコミュニケーションがうまく取れず、取引が前進しないことがあります。お客さんの利益を最大化しようと行動しながらも、結果的に取引が長期化する、最悪の場合決まらないことも考えられます。

納得できる不動産取引を実現するために

両手取引と片手取引の特徴や、不動産会社の実態を解説しました。
前述の通り、両手取引だからといって必ずしも悪いわけではありません。
ただし、両手取引の特性を利用して、売主ファーストではない取引を行なう不動産会社が少なからずいるのも事実です。
今回紹介した両手、片手取引それぞれのメリットとデメリットを踏まえ、自分に最適な方法を選ぶように心がけましょう。