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不動産仲介のあれこれトピックス

2021年2月26日
住宅ローン返済途中でも不動産売却したくなったら

住宅ローンの返済が困難になった、転勤や離婚などの生活環境の変化があった……不動産売却を検討する理由は、人によって様々です。そして、ローンが残っている不動産を売却した際に気になるのが、売却代金によってローンを完済できるかどうか。完済できなければ、物件の売却後も生活費のなかでローンを返し続けなければいけません。
住宅ローンの返済途中で不動産を売りたくなった場合、どのような方法を取れば損しないのでしょうか。
今回は住宅ローン返済途中での不動産売却について、具体的な方法や特例の税金控除について紹介していきましょう。

住宅ローン返済途中でも不動産売却は可能?

実は、ローンが残った状態で不動産売却をする人は意外に多いのです。
具体的にどのような方法で売却ができるのか、ステップや方法を解説していきます。

不動産売却を検討したらまずは現状把握から

ローン返済中の不動産を売却するときの必須条件として、売却代金でローンを完済して、抵当権を抹消しなければなりません。抵当権とは、万が一ローンが返済出来なかったときの担保として金融機関が不動産を確保しておく権利のことです。返済が滞った場合、不動産を競売にかけ、融資金額が回収されることになります。
抵当権を抹消するためには、まず現状把握が重要です。

ローン残債を調べよう

最初に、ローンの借入金や残債がいくらあるかをチェックする必要があります。金融機関から毎年10月頃に送られてくる、年末残高証明書を確認しましょう。
年末残高証明書が手元にない場合は、銀行で借入金の残高証明書の発行を要求することができます。

不動産売却額を調査しよう

次に、家の売却金額を把握しましょう。この売却金額が住宅ローンの返済に充てられるからです。
調査のコツは、複数の不動産会社に査定依頼をすることです。不動産会社によって査定方法や金額が異なることが多いためです。
査定では、家の状態や周辺の相場感にもとづいて価格が算出されます。

③売却金額でローン完済できるかを確認しよう

売却金額の査定ができたら、次はローン残債と売却価格の差額を確認しましょう。
ローン残債が売却額を下回っている場合を「アンダーローン」、ローン残債が売却額を上回っている場合を「オーバーローン」といい、どちらになるかでその後の対応が変わります。
まず「アンダーローン」ならば、売却額でローンを一括返済できるので、何の問題もありません。
逆に「オーバーローン」では、売却代金が足りないため、不足額を補うために別の方法で返済する必要が出てきます。自己資金を使って完済する方法もありますが、現実的にポケットマネーだけでローン残債を完済できない場合もあるでしょう。

ローン完済するための2つの方法

オーバーローンとなった場合の不足額を補填するための、具体的な方法は次の2つです。

・住み替えローンの利用

住み替えローンとは、次に購入する物件の住宅ローンに、返済しきれなかった残債をさらに上乗せして借りる住宅ローンのことです。
注意したいのは、借入金額が増えることにより、審査が厳しくなる点です。
メリットは、融資条件次第で今よりも低金利のローンに組み替えできることと、手持ち資金が少なくても住み替えができることです。
ほか、「ダブルローン」という手段もありますが、デメリットが多くあまりおすすめできません。
ダブルローンとは、現在の住宅ローンにくわえて新規の住宅ローンを組み、新居を購入した後、2つのローンを同時に返済していく方法です。
二重のローンを返済していくにあたり、「毎月の返済金額が増える」「税金特例が使えない」というデメリットが考えられます。将来的な支払いの負担の大きさを考えるとデメリットの方が大きい方法といえるでしょう。

任意売却という手段

ローン返済中に利用できるもう一つの売却方法は「任意売却」です。
任意売却とは、住宅ローンの返済を6ヶ月以上滞納、もしくは売却金額より住宅ローン残高が多い場合に、金融機関の合意を得て売却する方法です。
離婚や転勤が要因であること、どう頑張っても返済が難しい、などのやむを得ない事情の場合は、金融機関に同意を得ることはできるでしょう。
任意売却のメリットは、競売と比較して売却額が大きく下がる心配がないこと、競売のように周囲に物件を差し押さえられたと知られる心配がないこと、が挙げられます。
任意売却を利用した場合、信用情報機関に登録されることから、クレジットカードの新規登録や携帯の契約ができなくなるデメリットがありますが、「最後の手段」として活用できるため、覚えておきたい方法です。

オーバーローンで活用したい税金特例とは!?

不動産売却で、オーバーローンとなった際に覚えておきたい税金控除の特例があります。
「居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」といって、オーバーローンの金額が給与所得をはじめとしたほかの所得から控除され、会社から天引きされていた源泉徴収額を取り戻すことができる特例です。
たとえば、年間の給与所得が600万円だった場合、この金額からオーバーローンの金額を控除することができるのです。仮にオーバーローンで200万円のマイナスが出ていたとして、給与所得600万円から200万円を控除した400万円の所得になります。
この場合、確定申告で「損益通算」と呼ばれる手続きをすることで、この特例を使える可能性があります。

不動産売却は落ち着いて最善の判断を

ローン返済中に不動産を売却しなければならないケースは、十分に起こり得ます。
今回紹介した一連のステップや方法を踏まえ、売却によってローンを完済できるように自分に適した手段を落ち着いて判断しましょう。