コラム~Column~

不動産仲介のあれこれトピックス

2021年4月7日
任意売却で反社会的勢力と取引!? 問題点とリスクを解説

任意売却は、不動産売却における最終手段です。任意売却を選択する多くの不動産オーナーは住宅ローンの滞納など、返済に苦しんでいるパターンがほとんどです。
任意売却には、住宅ローンを滞納、もしくは完済できていない場合でも、金融機関の同意を得られれば不動産の売却ができたり、競売よりも高値売却できる可能性があったりするメリットがあります。


しかし、任意売却は後がない不動産オーナーが選択する手段であるだけに、買主とのトラブルがつきものです。特に、後になって大きな問題になるのが、仲介業者や買主が反社会的勢力だったケースです。
今回のコラムでは、任意売却で反社会的勢力と取引してしまったときの不利益やリスクを解説します。

反社会的勢力とは

反社会的勢力とは、暴力や威圧的な態度、詐欺的な手法を駆使した不当な要求行為により、経済的利益を追求する集団や個人のことです。略して「反社」と呼ぶのが一般的です。
反社との経済取引は、「暴力団排除条例(暴排条例)」の制定後、厳しく取り締まられるようになりました。暴排条例は、暴力団対策法(暴対法)といった暴力団関係者を直接取り締まる法律に対して、一般市民が暴力団関係者との関係をもたないように2010年以降、全国各地で制定されました。
現在では契約書に暴排条例に関する条文(暴排条項)が掲載されるのは当たり前になっています。

暴排条例の誕生により、暴力団関係者ら反社会的勢力は表立った活動ができなくなりました。代わりに、活動の実態を隠蔽して、資金獲得のために不当な活動を実行するようになったのです。
たとえば、暴排条例対策として隠れて行なっている活動の一つが、不動産取引です。
バーやクラブなどで不当に高い金額を来店客に支払わせるぼったくり行為を、ニュースやテレビドラマで見聞きすることはあると思います。そのような店舗を経営している大元が、反社であることが多いのです。
不動産売買において、反社とのやりとりはなるだけ避けたいでしょうし、自分の売却した物件が詐欺行為に利用されるなど、反社に加担する結果になれば心理的にも心苦しいはずです。
次に、具体的に取引相手が反社だった場合に受けるリスクについて見ていきましょう。

反社会的勢力との取引は避けるべき!<br>
売主が被る不利益やリスクとは

任意売却において、反社会的勢力と取引をしてしまうケースは、実際に数多く起こっています。
反社会的勢力と取引してしまった場合、売主はどのような場合に不利益やリスクを受けるのでしょうか。仲介業者が反社会的勢力だったケースと買主が反社会的勢力だったケースについて、それぞれ解説します。

仲介業者が反社会的勢力というパターン

不動産取引において、仲介業者は売主と買主の間に立って取引をサポートし、取引成立したら仲介手数料を受け取ることで利益を得ています。
仲介業者が反社だった場合、物件を反社に直接売ったわけでなくとも、問題になる可能性があります。売主が仲介業者に仲介手数料を支払いすることが、「利益供与」にあたるからです。

反社に利益供与をしたと認められた場合、売り主が暴排条例違反を咎められたり、監督官庁から指摘を受けたり、レピュテーションリスクが生じる可能性があるのです。
暴排条例違反を認定された場合、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
レピュテーションリスクとは、端的にいうと「評判が落ちるリスク」のことです。間接的にであれ犯罪的行為を実行する集団に資金援助をしてしまったという実績が残ってしまえば、世間からの評判が落ちるのは避けられません。
複数の物件を持っているオーナーの場合、反社と一度取引をしてしまえば、その後の不動産取引や賃貸経営に悪影響が及ぶかもしれないのです。
仲介業者が反社の疑いがある場合、まず任意売却に応じるべきではありませんし、仲介業者を交代するなどの対応が必要になるでしょう。

買主が反社会的勢力だったら事務所等に悪用される

反社会的勢力は、通常の取引で不動産を取得することが困難です。そのため、できるだけ安く購入することよりも、確実に物件を取得することを優先しがちです。任意売却で売りに出した物件は普通、相場よりかなり安い金額で取引されますが、高値で買うという買い手が現れたら、もしかするとその買い手は反社かもしれません。
もし、反社に不動産を売却してしまったら、その売買行為自体が利益供与とみなされ、監督官庁からの指摘リスクやレピュテーションリスクにつながります。

実際に反社に不動産を売却したら、暴力団事務所として利用されたり、幹部の自宅として利用されたりすることが予想できます。物件の売主が反社会的行為に加担することになってしまうのです。
したがって、たとえ高値で不動産が売却できるとしても、買主が反社会的勢力の場合は任意売却に応じるのは絶対に避けるべきです。

反社会的勢力との取引は自分が損するばかり!
疑いがあれば専門家に相談しよう

今回解説した通り、たとえ高額な価格で売却できそうであっても、反社会的勢力との取引となる場合は任意売却を応諾しないことが重要です。
関係者に反社がいる疑いがある場合は、弁護士などの専門家に相談して紹介をかけるなどして、安全な不動産売却を心がけましょう。