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不動産仲介のあれこれトピックス

2021年4月12日
入居者の事故死や病死は不動産売却に影響する?
 オーナーが押さえておきたい判断ポイント

新型コロナウィルスの流行によって、人々が持つ「死」への恐怖感は強まりました。コロナ禍の外出自粛により、家族や近所の人との交流が減ったことで、「孤独死」のケースが増えているという報道もあります。

賃貸物件を持つオーナーからすれば、入居者が孤独死してしまえば、物件を売却した際にどれほど悪影響があるのか、心配なのが正直な気持ちでしょう。
本コラムでは、入居者の事故死や病死がいかに売却に影響するかを解説します。

単身入居者の孤独死は決して珍しいことではない

令和2年版高齢社会白書(内閣府公表)によると、東京23区内で一人暮らしをする65歳以上の高齢者の死亡者数は平成30年(2018年)で3882人。平成21年(2009年)が2194人だったことを考えると、かなり数が増えています。
ちなみに2019年度の孤独死者のうち実に2996人が、遺体発見までに死後2日以上経過しているようです。マンションやアパートを経営している不動産オーナーにとって、孤独死は決して他人事とは思えない問題になっています。
もし、自分が賃貸経営している物件で死亡事故が起きてしまったら……不動産オーナーは入居者が死亡してしまったときに、やるべきことを知っておく必要があります。

病死の場合は基本的に不動産売却には影響しない

人の死は大きく「自然死」と「事故死」に分けられます。
病死の場合、ほとんどの場合が自然死とみなされます。殺人や自殺などネガティブなイメージが出回るような事件であれば、噂として拡散をしてしまう恐れがありますが、病死の場合、不動産売却の価格にはほとんど影響しないと考えてもよいでしょう。
ただし、次のような病死の場合は、事故物件扱いされる可能性があり、注意が必要です。

ニュースや情報番組の紹介からのレッテル貼り

近年「孤独死特集」や「独居老人特集」などがテレビ番組で組まれることは多く、そこで自分の所有物件が取り上げられる可能性はゼロではありません。
自然死であれば事故物件扱いにならない事実は変わりませんが、孤独死がニュースなどで取り沙汰されることで、「噂になっている物件だ」とマイナスのレッテルを貼られてしまう可能性はあります。

不審死の疑いで警察の捜査が入る

孤独死がたとえ自然死だったとしても、警察が不審死を疑えば捜査に来る可能性があります。警察は周囲に聞き込み調査を行なうことが多いため、パトカーが敷地内や物件のそばに止まっている場合、目撃談をきっかけに物件の評判が落ちることもありえます。

遺体跡が残ると事故物件となる可能性が高い

孤独死となった場合、亡くなってから2日〜3日後、長くて1ヶ月後に遺体が見つかるというケースもあります。新型コロナウィルスの感染拡大が甚大になって以降、3ヶ月後に発見されるような場合も増えているようです。
時間が経過すると、遺体は腐敗が進みます。すると、部屋に腐敗臭が残ったり、遺体跡が残ったりすることが考えられます。そうすれば、次の入居者の精神的負担から事故物件として扱われ、売却金額に影響する可能性は高まるでしょう。

入居者の病死や事故死……告知義務はある?

事件性のある殺人、自殺、自然死といずれの場合でも、次の入居者に精神的負担が生じることが考えられるため、基本的に告知義務があると考えましょう。ただし、明確な基準が法律で定められているわけではなく、過去の判例が重要になります。
判断のポイントとしては、その死亡事故や事件があったことを事前に知っていたら契約をするかどうか、ということです。
病死の場合は、人によって感じ方や捉え方は変わるため、オーナーだけの判断で告知するかどうかを決めるのは無謀です。判断に迷ったときは、売却を手伝ってくれる不動産仲介会社に相談することを心がけましょう。
万が一、入居者だけでなく、仲介業者にも病死や事故死を隠して売却活動を続けたら、損害賠償を請求される危険性があります。

病死や事故死の物件は売却価格を下げざるをえないのか

病死に関しては、前述の通り、基本的には事故物件扱いとならないので、売却価格をわざわざ下げる必要はありません。特に自然死については、心的影響が少ないことがほとんどで、価格面もあまり影響はないと考えてもよいでしょう。
不動産会社に相談したうえで、告知が不要なケースであれば、複数の不動産会社に査定をとり適正価格で物件売却を目指しましょう。

心得てほしいのは、このような死亡事故のあった物件を売却する際のハードルは、ほとんどの場合は入居者の心理的な問題です。たとえ事故物件と認定された殺人事件があった物件であっても、入居者が気にしないのであれば取り越し苦労となります。
たとえば、死亡事故があった物件について、リフォームに力を入れても、それだけの価値が売却価格に上乗せされるわけでもないのです。
ただし、遺体の腐敗が進んでいる場合は、必ず特殊清掃やリフォームをしなければなりません。

売却後のトラブルを避けるため告知は義務と心がけよう

不動産売却はできるだけ高く売りたいと考えるのが自然です。ただし、今回紹介したような病死や事故死などの物件は、売却価格に影響する可能性が少なからずあるといえます。

さらに、オーナーが告知をせず、売却後に過去の事件が判明した場合は損害賠償問題にも発展しかねません。病死や事故死などで自分の物件が事故物件になるかどうかを考えるよりも、まずはありのままを告知することを心がけましょう。どうしても不動産売却が困難だと感じたら、早めに売り出し価格を下げて売却に臨むほうが賢い判断かもしれません。